「綾羽は、俺たちのことを親じゃないって言っていた。パニックになって、ダダをこねて暴れていたんだ。暴れたから、傷口が開いたりして、多量出血までして・・・・・・応援まで駆けつけて・・・・・・すごく大変な時期だった・・・・・・。」

「・・・・・・。」


次は、綾羽が、記憶能力検査を受けている映像だった。


『綾羽さん。ここに、三枚の絵があります。パンダの絵はどれか、指をさしてください。』

『・・・・・・。』

『・・・・・・もう一度言いますね。パンダの絵はどれか、指をさしてください。』

『・・・・・・。』

幼稚園レベルの質問だ。

俺の家でも、こんな風な質問を綾羽に出したけど、綾羽はこたえることができなかった。


『・・・・・・。』


映像に写っている綾羽は、パンダじゃなくて、ライオンの絵を、黙って指さした。


「・・・・・・なんで、こんな幼稚園レベルの問題がわからないのかって思った。綾羽が勉強を頑張って、トップクラス内に入れただけでも、奇跡だった。」


たしかに、綾羽はまだ学校にいたとき、勉強を頑張って、ぎりぎりの成績で俺たちと同じ、成績トップクラスに入った。