「ご、ごめんなさい。うちの娘が迷惑をかけてしまって・・・・・・。」

「い、いえ。あの・・・・・・何かありましたか?」

「・・・・・・・娘のちいです。ちいは、生まれつき、足が悪いんです。」

「え・・・・・・。」

「手術すれば足は治るんですが・・・・・ちいは手術を嫌がってしまって、このような状態に・・・・・・。」

「・・・・・・そうなんですか・・・・・・。」


・・・・・・私の記憶障害という病気なんて、一生治らない・・・・・・。

ただ・・・・・・精神的な死が訪れるのを、待つだけ・・・・・・。


「・・・・・・ちいはまだ五歳なんです。私も、こんな小さい子に、手術の経験をさせたくないんです・・・・・・。」

「・・・・・・。」


ちいちゃんのお母さんの話を聞いてると・・・・・・胸が苦しくなってきた。

まだ五歳の女の子に、手術の経験をさせるなんて・・・・・・。

でも、手術をすれば、ちいちゃんの足は治るんだ・・・・・・。


「・・・・・・ちいちゃん。」


私は、ちいちゃんの傍に行って、手をぎゅっと握った。


「手術・・・・・・怖いよね?やりたくないよね?」

「・・・・・・うん。」

「でもね、ちいちゃんの足が治ったら・・・・・・お友達とたくさん遊べるんだよ?いいこともいっぱいあるんだよ?」

「・・・・・・ホントに?」

「うん。私もね、病気を持ってるの。でもね、その病気は二度と治らないの。」

「え?!」


ちいちゃんは、目を大きく開いてびっくりしている。