「綾羽、家着いたかな?」


ケータイを手に取って、綾羽に電話をかけた。

でも、綾羽は出なかった。


『ただいま、電波の届かないところにいるか、電源が入っていないため・・・。』


電源切ってるかもな?

そう思って、ケータイをポケットにしまおうとすると、電話がかかってきた。


「誰だ?」


画面を見ると、藤樹からだった。

俺は藤樹からの電話に出た。


「もしもし。」

『もしもしじゃねぇよ、バカ野郎!!!お前今、どこで何してんだよ!!!』

「ハア?!何だよ急に!」

『どぉせお前ら、朝までヤってたんだろ?!』

「うるせえよ!で、何だよ!!!」

『・・・・・・今そこで一之瀬に会ったんだけどさぁ、あいつ・・・・・・俺のこと忘れてる。』

「・・・・・・ハア?」

『あいつ、何でか泣いてたんだよ。俺が声かけたら、あなた誰?って言われた。』

「・・・・・・え・・・・・・。」


その瞬間・・・・・・ケータイが手からスルリと落ちて、ガシャン!!!と音をたてた。


「・・・・・・やべ。」


慌ててケータイを拾い上げた。

よかった・・・・・・ヒビはいってないし、壊れてもない。