咲いて散る花の様、一途な未来。
相思相愛にも劣らぬ、親子愛。
無償の想いと、償い切れない大罪。
見る景色が色失う前に、この両腕であの子を。
戻れない人生に終止符、あの子の未来に光、幸よあれ。
十二月十八日。AM九時半。
佳菜子から借りた車で、私は我が子、【愛】が居なくなってしまったという
養護施設に向かっていた。
私の罪が発覚し、留置所に居る期間に聞いた話だった為、事実上私には何も手掛かりというものがなかった。
ならば、直接聞きに行くしかないと判断したのだ。
勿論、我が子が預けられた施設。
住所も丸暗記していた。
この調子で飛ばして行けば、あと一時間も掛からないだろう。
朝の通勤車が徐々に減り出していた。
時折、管轄外のパトカーとすれ違った。
その度、私の心臓は跳ね上がった。
どうしようもない恐怖が未だ私を支配していた。
真冬だというのに、掌には汗が滲み出ていた。
若干、嗚咽感も感じた。
不穏な空気を私は丸ごと飲み込み、頭を振り切った。
ひたすら前を見て運転を続けた。
私の願いはただ一つ。愛を抱き締める事だけ。
母親として出来なかった当たり前の事を、無理は承知で私は願った。
誰に?
神さえ信じてしまうこの状況だ。
誰でもよかった。
誰かに縋る願い。
愛は今も、救いの手を待ち続けているのだから。