「ていうか、そういう高階こそどうなのよ」

「俺はいるよ」

「えっ、嘘。私の知ってる子?」

「知ってるヤツ」

「このクラスの女子?」

「そー」

「えぇー誰だろ………憂ちゃん?それともめぐちゃん?あっ、大穴で篠崎さんとか?」



人当たりが良さそうなクラスメイトの名前を次々に挙げていく。

だが、首を横に振るばかりで縦に振ることはない。



「じゃあ、誰なの」

「浅葱が俺に隠し事してるから教えない。隠し事を教えてくれたら教える」

「え、私って何か高階に隠し事してたっけ?」



特に高階に対して何かを隠しているつもりは無い。

隠し事をしていても、上手く隠し通せるほど嘘が上手では無いと自覚しているため、なんでも話しているように思うのだが。



「私、高階に隠し事なんてしてないよー」

「してるんだよ」



なんだそれ。それじゃあ高階は私よりも私がわかっているようじゃないか。そんなことをぐるぐると思っているうちに授業開始のチャイムが鳴り、この話が打ち切られた。