顔は見えないけれど俺と大した変わらない年齢だろうか…

なぜ、こんな所で泣いているのか

不思議に思い、近づいて行った時


不意に夜の公園で泣いていた春菜先生を思い出し


恐くなって

すっと、横を素通りしようとした途端


泣いていたその女性が突然、顔をあげたから


バッチリ目があったから驚いて

思わず視線を逸らして知らないふりをして通り越した。


驚いた。


いや、あんな所で若い女性が泣いていたら誰でも驚くだろう


けど、俺はもっと別の意味で驚いたんだ。

目があったのは一瞬だったけど…


あの瞳が



鈴に似ていた気がしたんだ。





やっぱり気になってもう一度振り返ったけど、彼女の姿はもうそこに無かった。



ふぅっと、ため息をついたのと同時に携帯が鳴り、通話ボタンを押すと

ひどく慌てた父さんの声が聞こえきた。