いくら見渡して見てもそこに広がるのは畑ばかりで

今度はあてもなく歩きだした。


いや、俺の足は夢の中で清人になっていてしっていたのかもしれない


適当に歩いていたはずが、ふと見れば

夢の中で何度も来たことのある商店街が見えた。


商店街の入り口に立ち、後ろを振り返ると、少し向こうにテナント募集と張り紙がされた、まだスーパーの看板が残っている建物が見えた。


商店街の中を歩いていくと

ほとんどの店がシャッターを下ろしてしまっているが

夢の中と何も変わらない風景がそこにはあった。


まるで、今も


この場所に清人と鈴が買い物に来るのではないかと錯覚してしまうほど…


この商店街だけがセピア色に

変わらずそこにあるような気がした。



大地を産んだばかりの母親を気遣って、清人がよく鈴を連れておつかいに来たのだ。


それも、現実にあったことなんだ。

込み上げてくる思いを抑えながら商店街を突き進んで行ったその出口付近で

しゃがみ込み


泣いている女性が見えた。