そして翌日、ようやく午前中の仕事を終えた俺は工場を飛び出した。
清人が住んでいた家を目指して。
学校からだと1本道
ただひたすら歩けばいいだけなのだ。
一人で色々と夢を思い出しながら歩いていくと
当時、栄…俺の祖父ちゃんが住んでいた家には新しい一軒家が建てられて別の表札が飾られていた。
それを見た瞬間
とても寂しい気持ちになる。
夢の中の出来事は全てこの町でおこったであろう、過去の話なんだ。
頭の中で理解していても気持ちがついていかない。
そしてひたすら歩いていくと1本の電柱が目にとまった。
ここは…
この間の夢の中で清人とが鈴を迎えに行った場所だろう。
周りの景色が違ったとしてもそこにある懐かしい雰囲気だけは失われないものだ。
つい、この間、夢で見たばかりの場所がまるで、一瞬のうちに時を越えてしまったような不思議な感覚だ…。
2人の自宅がある場所までもう少しだろうか
慎重に辺りを見渡しながら歩いて行った。