秋真っ只中
清人の町の商店街の近くに大型スーパーがオープンした。
それは
商店街のお店で雇われている鈴の父にとって
鈴の家にとって
大きな事件だったんだ。
町の住民は大型スーパーの物珍しさや、その1つの店で何でも揃えられてしまうという魅力で
次から次へとスーパーに並び
それは、連日尽きることのない大繁盛だった。
けれど
その近くにお店を出している商店街の人達は
予想通りに客を持って行かれて
あっという間に経営が困難になってしまった。
来る客といえば
馴染みの年寄り客ばかりで
それも一日に数えられる程度しか来ない。
大型スーパーがオープンしたその日から清人はいつも鈴のことを気にかけていた。
清人の両親が話していたんだ。落ちこんでる鈴の父ちゃんをなんとか励ましてやることはできないか2人で話し合っていた。
けれど、鈴の様子は至って変わらない。
朝、学校へ向かう途中に迎えにいっても、いつものように穏やかな笑顔を見せて「きよちゃん、おはようだね」と笑いかける。
時折、眠たそうな目をしているけれど、朝に弱い鈴には普通のように清人には見えていた。
鈴があまりにも毎日を変わらずに過ごしているから
清人は鈴が1人で悩み、考えてることなど少しも感じなかった。
逆に心配するだけ無駄だったかもしれないと思い始めた頃