春菜先生には昔、家族があったんだ…。
夫婦共に教員で
小さな子供もいた。
暖かい家庭だったと
春菜先生は俺を遠ざけるためによく、家族の話しを聞かせた。
まだ、保育園に通い始め娘さんは父親似の人懐こい性格で
保育園でも友達が多かった。
休みの日は家族ででかけたり、公園で遊んだり
砂遊びの大好きな少女だったらしい。
話しながら
春菜先生はよく泣いていた。
まだまだ考えが青い俺は
それならもう一度、俺と家庭を築いていこうと
春菜先生を困らせていた。
春菜先生は決まって「あの人と…娘じゃなきゃだめなの。
私の家族はあの2人なの…。」
そう言って泣いた。