『ん〜〜〜!!』

朝6時。

目覚まし時計よりも30分早く起きた。

『ふぁあ〜…………』

布団の上で背伸びをしてからベットから起き上がる。

1階へ降りて行くと、ふわりと美味しそうな朝ごはんの匂いがした。

『おかーさーん、おはよー』

『おはよ、今日は早いのね』

こちらを振り返らず、応えるお母さん。

『うん…何か懐かしい夢見た…』

『そう、ほら!顔洗って着替えて来なさい!ご飯出来たから!』

『ふぁ〜〜い』

何かを思い出したようにお母さんが口を開いた。

『ぁ…愛乃ちょっとまって!』

『なに?』

『ついでに颯人起こして来て!』

一ノ瀬 颯人(イチノセ ハヤト)14歳

あたしの2個年下の弟。

『はいはーい』

ま…着替える時に2階に行くし、その時起こせばいいか…

『うわっっっ!!』

『あ?!』

洗面所まで行くと弟の颯人はすでに起きて歯を磨いていた。

『ちょ、居るなら居るっていいなさいよっ!』

『そんなん知らねーよ!ちゃんと確認してから入ってこねーお前が悪いんだろ!』

『をい!!姉様に向かってお前とはなんぞ!』

『うるせえーな…朝から…静かにしろよな、だから未だに彼氏すらできねーんだ!バーカ!』

颯人は姉に心のダメージを受けさせ、洗面所から逃げるように出ていった。

『う、くっそ………何て生意気なんだ…』

颯人は産まれる時未熟児で誕生した。
とても小さく、病弱な子だった。

アレルギーを起こしたりと病院通いだったのだ。

今は背も高くなって、小さい時病弱だったって事を忘れさせるくらい元気に育っていった。

成長する度アレルギーは減って行き、今でも多少はあるが1、2個程度だ。

そんな颯人も小さい時は人懐っこく可愛いかった。

今じゃあんなんだけど、この言い合いもあたしにして見れば毎日が楽しい。

自慢の弟?って事にしとおこう!



『よしっ!完璧!』

鏡の前に立ち寝癖がないか、見た目は変じゃないかを確認した。

『うん…大丈夫だねっ!』

確認し終わり1階へ行くと、お父さんはもう起きて居て椅子に座って新聞を眺めていた。

お母さんはお茶碗にご飯をついでいる。

颯人は椅子に座ってスマートフォンをいじっていた。

『ほら!愛乃突ったってないで手伝って!』

忙しそうにお母さんが言う。

『ぁ、うん』

お母さんに渡された茶碗を机に運んで、家族全員が椅子に座った所で食べ始める。

食べ始めてから数分で颯人が食べ終わり2階へ鞄をとりに行った。

何となく視線に入った時計を見ると、7時56分をさしていた。

『あ!!!もうこんな時間!!急がなきゃ!』

『ごちそうさま!』と、言ってから走って2階へ行き鞄をとって玄関へ向かう。

『ちょっと早くそこどきなさいよっ!』

玄関のど真ん中で颯人が座りながらダラダラと靴を履いていた。

『へーへー………いってきまーす…』

小さく声を出しながら颯人がドアを開けて学校へ行った。

あたしも急いで靴を履き『いってきます!!』と、いって学校へ向かった。