小学校2年生の夏。
友達の心(ココロ)ちゃんと遊んだ帰り道。
今は昼間でちょうど皆は昼ごはんを食べている時間帯だ。
あたしも家に帰りご飯を食べてからまた心ちゃんと遊ぶ約束をしていた。
その時の気温は30度を上回っていた。
真夏だ。
こーゆう時はアイスや冷たいお茶などを飲みながら帰りたい所だが、遊んでいるうちに飲み物はきれ当然お金は持っていなかった。
あたしの家は川を挟んだ先にある家で橋を通って帰る。
橋の下をふ、と見てみると男の子が1人で川沿いに座っていた。
その川は水が綺麗でとても冷たい。
だけど急に流れ方を変えたりするので溺れる子や流されてしまう子が夏になると急激に増える。
そんな危ない川だからこそあたしは叫んだ。
『おーーーーーーぃい!!』
叫んだが聴こえてないらしい。
しょうがなく川沿いにおりその男の子の元へと足を進ませる。
『ねえ?そこ危ないよ?』
結構な近さなのにまだ聴こえてないのか?
今度は肩を叩いてみた。
『ねえ?そこ危ないよ?』
すると、やっと気づいた男の子がこちらを振り返った。
少しびっくりした顔がどこが恐怖も感じられる表情だった。
そんなのお構いなしにあたしは続けた。
『こんな所でないをしてるの?危ないからあっちに行こう?』
『…』
何も言わない男の子は、ただ手だけを動かした。
まず、耳に手を持っていき、それから胸のあたりでバツを作った。
小学校2年生でもわかるジェスチャーだ。
この男の子は耳が聴こえないんだ。
だからさっき橋の上から叫んだ時も気づかなかったんだ。
それよりも早く川沿いが危ない事を教えないと…でもどうやって…
川をさしてバツを作っても「川はダメ」と言う意味不明なジェスチャーになってしまう。
あたしが考えていると男の子が口をパクパクと動かし始めた。
あ!そうだ!口ぱくなら!
えーと…
ぱくぱくぱくぱく
(川沿いは危ないからあっちに行こう)
言い終わると男の子は納得してくれたのか頷いて川沿いから離れ始めた。
ホッとしたあたしは男の子の後ろを歩き始める。