『あああ〜歩きづらーい』

『はいはい我慢ねっ!先生も言ってたけどちょっとの間は安静にね??愛乃ちゃんはすぐ走り出したりするんだから!』

『ぅ…はーーい』

『あっはははは!!一ノ瀬も柚木には負けるな!』

『そーゆうカヨもでしょっ!』

『まあね』

あたしもカヨも円にはいつも頭が上がらない。

円はしっかり物で頼りになる。
だけどたまに天然な所が出たり雰囲気がふわふわしているのでとても癒される。

そんな円は今は青春をしている。
彼氏がいるのだ。

最初好きな人が出来た!と、聞いてあたしもカヨもテンションが上がった。

よくよく聞いて見ればあいつだった。
あいつと言うのはもちろん野瀬だ。

野瀬とは言い合いをしたりと仲が悪く見えるがそうでもない。

野瀬はいい奴だ。

最初聞いた時はびっくりしたが、顔を赤らめて嬉しそうに話す円をみたらあたしもカヨも嬉しくなって応援したくなった。

そして、応援してから半年。

円と野瀬が付き合ったのだ。

付き合ったと報告を受けた時はあたしとカヨも自分の用にはしゃいだ。

今も円と野瀬はうまくいっているらしい。

あたしとカヨと円で最近駅の近くに出来たドーナッツ屋の話をしながら教室に戻り、HRが始まった。

HRが始まるチャイムがなり担任の橋谷先生が話始める。

橋谷先生は皆からゆうちんと呼ばれている。
27歳の独身だ。背は高く顔は可愛い系の顔だと思う。

『いいかー後少しで体育大会が始まるぞ!体育大会の前は文化祭だ!何をやるかまた決めるからな!何をやりたいか確実決めとくこと!』

そーかーもう体育大会かー3組は何色になるのかなー?

その前は文化祭か…確実で決めとけって言われてもなあー…

『ねー一ノ瀬!』

斜め前の席からカヨの声がした。

『んー?どーしたー?』

『文化祭さー回る時柚木はやっぱ野瀬と回んのかな?』

文化祭と言えばカップルで制服デート的なのを毎回リア充達は繰り広げている。

『そーなんじゃないかなー?』

『そっかー…』

カヨが何やらとても気まずい顔をしているので聞いてみる。

『カヨ?どーかしたの?』

『それが…』

『うん?なになに?』

『ごめん!』

いきなり謝るカヨにあたしはまさかと思い聞いてみる。

『ぁ、もしかして…カヨも一緒に回れない?』

図星だったのか勢いよく顔をあげるカヨ。

分かり易い。

『うん…ごめん!…文化祭は彼氏が来るからさ、彼氏と回るの…』

え?彼氏??

え??ええ?

『か、カヨ?彼氏いたんすか?』

『あれ??言わなかったっけ?』

………。。いってないよぉぉおお!!!

『聞いた事なかったよ!』

『あはは…言ったつもりでいた…』

ええーー…あたしだけか…彼氏いないの…

円もカヨも彼氏が居て…って!そんな事考えてる場合じゃない!

どうしよ文化祭…誰と回ろう…

あたしが眉間にしわを寄せて考え事をしているとカヨが勘違いをして話かけてきた。

『…い、一ノ瀬??怒った?』

『へっ?全然怒ってないよ?』

『そう?なら良かったけどさ…眉間にしわ寄せて怖い顔してたからさ…』

『あーごめんごめん!ちょっと考え事してた』

『ぁ、文化祭1人ぼっちだから?』

=(´□`)⇒グサッ!!

『か、カヨ…図星だけどさ……今のは直球すぎる…』

『あーーっははははは!!ぼっちだな!』

=(´□`)⇒グサッ!!

『ううー…どーしよー』

あたしが悩んでいるとカヨが真剣な顔をして口を開いた。