両親の海外出張が決まったのが事の始まり。

 私は英語もできないし、親しい友達と離れるのが嫌で残るつもりだった。

 けれど両親大反対。

 私も連れて行くつもりだったらしい。

 地元には親戚もいないし、高校生で一人暮らしなんて危なくてさせられないと。

 両親と喧嘩したのは、初めてだった。

 連れて行きたい両親と地元に残りたい私の話し合いは平行線だったが、そこに現れたのが母の弟――健吾(けんご)さんだった。


『お互い妥協するしかないんじゃない?
 俺んとこで預かりますよ』


 お母さんはそれならとあっさり了承したが、お父さんは最後まで苦い顔をしていた。

 結局転校は絶対条件で、私が選べるのは日本か海外かの二択だったのだ。