【その手】は



気が向いた時にだけ



雨の部屋にやって来ては



カナリヤと遊んだり



つついてみたりと




とても【わがままな手】でした。




カナリヤに姿を変えて




もう何日か、何ヵ月か




それとも何年なのか



姫は人間だった事を




つい、忘れてしまう様な月日が




雨の部屋の水と共に




とうとうと 流れていきました。