けど、もうあの声は聞こえない。思い出の中だけしか。
戻れない日を懐かしんでいた時、ふとルナの存在に気付いた。忘れてた。せっかくこちらから呼んで来てもらっているのに。
ナスカはルナに「ごめん」と軽く手を上げ、話を戻した。
「で?連れて来てくれた?」
ルナは「はい」と返事をしてドアに視線を投げた。
「入りなさい」
声の後にドアが開き、一人の若者が入って来た。