雨の日は、起きたことを後悔する。
朝だというのにカーテンを開けても光は入らず、陰鬱な空色が目に入り、さすがに僕の清らかな精神もやや濁る。
アスファルトから立ちこめる独特の不愉快な匂い。傘一本に拘束される大事な利き手。
これから外に出るのがこんなにも嫌なのに、僕はきっちり遅刻しない時間までに身支度を終わらせてしまう。
習慣とは、恐ろしいものだ。
こちらの感情など抜きに手足を勝手に動かしてしまう。
厚手の黒い布地に雨粒が黒い染みを作るのが嫌なので、衣替えは今日にした。
昨日まではどんなに暑いと感じても頑に学ラン姿を貫き通していたのだが、まあ習慣にもある程度例外はあるということだろう。
このように柔軟性に優れた僕の頭を阿呆だと称する友人は後を絶たないが、この頭で県一番の進学校に軽々と合格したことを忘れてもらっては困る。