今日も、市立図書館の入り口前駐輪場には形も色もそれぞれの自転車がみな大人しく停まっている。

線も引かれていないのにびしりと整列したそれらは、なんとなく棚に並ぶ色とりどりの本を彷彿とさせる。

私もそれに倣って、自分の自転車を規則正しく揃えて停車させた。

利用者は年配が多いからだろうか。色あせた暗い色合いの自転車が多い。

そんな中、高校入学と同時に購入した少々自己主張の強い赤色の新車はなんと言うか確固たる存在感を放っていた。

自転車の前かごから引っこ抜いた鞄を肩に引っかけると同時、早足に入り口へ向かう。

いわゆる置き勉をしないタイプなので毎日米袋なみに重い鞄だが、この時ばかりはその重さも気にならない。

少し重たいガラスの扉に体重をのせると、溢れ出るような独特の静けさに私の身体は包まれていく。