キーン…コーン…カーン…コーン……


「やっと終わったー!」
「学食行こうよ!」
「昼の授業だりーな」

ざわめきたつ教室
落ち着かない


「高倉さんまた何か書いてるよ」
「漫画じゃない?それより早く学食行こうよ!」


漫画じゃねーし…



私の名前は高倉マリア
教室でも特に目立たない、趣味や特技もない、至って普通な、どこにでもいる女子高生

唯一好きなものは音楽

そして


作詞家である



(あ、いいワード思い出した)


私は都内でも有名なバンド「Maria」の作詞を担当している

特に興味があるバンドではなかったけど
バンドの公式サイトで珍しく作詞担当の募集をかけていて
詩を書くのが好きな私は応募をしてみた

耽美な見た目と艶めかしくかっこいい曲に、Mariaのメンバーは全員曲に合う歌詞を書くことが出来なかったのだ

素人の斬新なアイディアを求めていて、応募人数も少なかったせいか
一度ミーティングをした時に書き溜めた詩を見せたら一発で採用されたのだ


インディーズ時代から歌詞を提供し続け、Mariaは5年の活動を経て遂に今年メジャーデビューが決まった


今日の放課後は新曲の打ち合わせ



(仮の歌詞はできた!


そういえば…)



あの思い出はいつの話だろう
ママとの思い出
ママの事しか覚えていない






キーン…コーン…カーン…コーン…




(あ!!お弁当食べてない!!)