「高倉さん、今日楽しみだね!」

「ゆきちゃん!そうだね!」

いけない、リリアさんの事考えてた…

「ゆきねえ、着替え持ってきたんだあ〜高倉さんは制服で行く?」

「うん、そうだね。いつも制服だからなんか私服恥ずかしくて」

「そっかそっか。そーだ、あのさ…マリアちゃんって呼んでいい?」

「大丈夫だよ!高倉って、なんか堅苦しいしね」

「よかったぁ♡じゃあ今からマリアちゃんね♡」


ゆきちゃんとそんな話をして
授業も終わり、3人で渋谷へ向かう


「う〜…緊張してきたよぅ…」

駅のトイレで着替えたゆきちゃんはとても可愛かった
メイクを変えて、淡いピンク色の可愛いワンピースにコートを羽織っていた

季節は冬
まだ雪は降らないけど寒くなってきた頃だ

私と吹雪くんは制服のまま会場へ



「ヘックシ…」

「マリアちゃんのくしゃみ可愛い〜♡」

「んん〜…寒くなってきたね…」



「これ、巻きなよ」


吹雪くんの、ブランド物のマフラー


「え、いいよ、吹雪くんが寒く…」

「俺は頑丈だから。使って」

「ありがとう…」



マフラーから吹雪くんの香水の匂い
男の子の香り
リリアさんとは違う、男物の香水かな…

「吹雪、ゆきには貸してくれなかったのに〜」

「お前は自分の部屋に置いてあるだろ!あのゴミ溜め部屋に」

「酷い!マリアちゃんがいつ来てもいいように最近片付けてるもん!!」

「ふふ…」


2人の優しさが心にしみる
特に雪ちゃんのような活発な子は周りにいなかったから、彼女といると普段の景色もキラキラ輝いて見える



渋谷のLIVE HOUSEに無事ついた
今日のイベントは対バンイベントなので、他のバンドのお客さんも既に並んでいたが、やはり一番多いのはMariaのファンらしい


「Mariaのファンって、一発でわかるよね」

Mariaのファンは皆服やアクセサリーのどこかしらに百合の花のワンポイントが入っている
メンバーに似せた髪型や髪色のファンもいるのだ

「Mariaの出番まで時間あるし、メンバーに挨拶しに行ってみようか」

「いいの?!」

「私もいるし、パスがあるから大丈夫だと思う」


カウンターでゲストパスを貰い、裏口を通って楽屋へ向かう



聞き覚えのある声


「リリアさん!」


「おーマリア!いらっしゃい」

「あ、友達の雪ちゃんと吹雪くんです」

「マリアの友達ね。いらっしゃい。今日は楽しんでいってね」

「あ、ありがとうございます!雪っていいます!Mariaは結成当時から大好きです!!」

「吹雪です。今日はありがとうございます!俺、リリアさんに憧れてるので本当に嬉しいです!」

「アハハ!若いっていいなぁ〜おじさんたち頑張っちゃうよ。あ、マリアごめん、マネージャーがマリアの来月の予定合わせたいところがあるらしいからちょっと行ってきてもらえる?」

「今ですか?」

「今マネージャー時間あるから今の方がいいかもしれない」

「わかりました。ごめんね、一瞬抜けるね」


パタパタ……





「雪ちゃん、吹雪くん」

「「はい!」」

「マリアのこと、よろしくね。あいつ俺らと関わってから学校で友達つくらなくなって…俺らはマリアが作詞してることバレても構わないんだけど、マリアに色々理由があるから…俺は学校まで踏み込むことができないからもし学校で何かあったらマリアのこと守ってやって」

「はい!絶対に私たちが守ります!」

「よかった、それ聞けて安心したよ」



「おまたせ〜!」

「マリア悪かったな」

リリアさんが私の頭を撫でる
2人が見てるのに…

「ごめんね2人とも、他のメンバーには終わったあと会えると思うから」

「そんな!お忙しい中ありがとうございます…!」

「それじゃあ俺達はそろそろホールに行こうか」

「そうだね♡!あー楽しみ!」

「リリアさん、ありがとう。終わったらまた挨拶に来ます」



「おう、……マリア」

「はい?」




「しっかり見てろよ」


「……はい!」




何度もMariaのLIVEは見てきたけど
今日はなんだかいつもより特別な気がした