次の日の朝、駅のいつもの場所に絵里だけがいた。

「晴美、先に行くって…」

「そっか…。なんか嫌な思いさせてごめんね。ちゃんと晴美と話してみるから」

教室に入ると愛子がすぐに寄ってきた。    
           
「晴美ちゃんとは…?」

梨紗は首を横に振った。
           
すると、愛子が話し始めた。

「ごめん!私、同じクラスで一緒にいるのに、梨紗が悩んでるの気付いてあげられなくて…話してくれても、ありきたりなことしか言えなくて…」

愛子のその言葉が、その気持ちが、嬉しかった。

「ううん!充分だよ。ありがとう!晴美とも話してみるし…きっと大丈夫」          

「そっか」

愛子に少し笑顔が戻ってホッとした。

放課後、2組の教室のドアの前で晴美が出てくるのを待った。     

友達とバイバイをして、晴美が歩いてくる。

「晴美」

そう呼ぶ梨紗の顔をチラッと見て、無言で通り過ぎていった。

梨紗は無視されたことがショックだったけど、諦めなかった。

「晴美!!」

背中に向かって大きな声で呼んだ。

晴美は足を止めてゆっくりと振り向いた。