人と比べるのは良くないことだと、頭ではわかっていても、止まらなかった。         
           
夏休みの出来事も、なんだか些細なことのように思えてきてしまうほど、梨紗はマイナスに考えるようになっていた。  
           
なんでこんなふうに思うようになってしまったのか。それがわからずに、心の中でモヤモヤしたものが広がっていく。 
           
こんな気持ちでいると、幸輝と会っても当然、楽しくなかった。    
           
それでも、何も知らずにいつも通りに接してくる幸輝を見てると、胸が痛んだ。        
           
自分が悪いとわかっていても……。      
           
学校が終わったら並んで一緒に帰りたい。   
カラオケに行ったり、プリクラを撮ったり、映画を見たり……考えだすとキリがない。みんながやっているようなことを普通にしたかった。   

部活を一生懸命頑張っている。そんな幸輝が好きだったはずなのに……。


幸輝の存在を、とても遠くに感じていた。