数日経つと、梨紗は複雑な気持ちがありつつも、冷静に周りを見るようになっていた。     
           
こんな気持ちだからこそなのかもしれないが、周りにいるカップルによく目がいくようになっていた。

そして、自分と比べていた。

同じクラス内で付き合っている友達が、教室で彼氏と一緒にいる所を見ると、

『私と幸輝くんだとできないこと』      
そう思った。     
           
彼氏と手を繋いで帰る友達を窓から見下ろした時

『まずは幸輝くんが部活終わるの待たないと、一緒になんて帰れないし…』

全てが卑屈になっていた。          
晴美と絵里と帰る時、校門に向かって歩いていると、

「また明日ねぇ〜!」 

愛子と純が、自転車に2人乗りして横を通り過ぎて行った。      
           
今までだって何回も目にしてきた光景。だけど初めて

『うらやましいなぁ…』

と思った。ただそれしか思わなかった。