練習試合は、幸輝のいつも以上のプレーもあって梨紗の学校が勝った。 
           
片付けなどをしてから、梨紗と幸輝は2人で学校を出た。       

練習試合は勝ったのに、幸輝の口数は少なかった。

怒っているのかと、梨紗は不安になった。   

幸輝は、怒っていたわけではない。楽しみにしていた約束をダメにしてしまった自分の所に、梨紗が来てくれたことが、たまらなく嬉しかったのだ。
この嬉しさを、何という言葉で表現すれば伝えられるのか…
来てくれて嬉しかったよ
なんて、そんな一言では言い表せなかった。  
           
梨紗が降りる駅で、幸輝も一緒に降りた。時計は9時を過ぎていた。
危ないから家まで送ると言ってくれた幸輝が、駅前のコンビニの前で立ち止まった。      
           
「花火。やろっか!」 

「え?」       

幸輝の目線の先には、コンビニで売っている手持ち花火。       

花火を買って2人は、公園に行った。     

「きのうも来たよね!」

笑いながら梨紗は花火に火をつける。