終業式が終わって、梨紗は部室の前で先輩と話していた。       
           
「花火は絵里と、あと中学の時の友達何人かで行くことになったからさぁ!今日はみんなで遊んで帰るんだ。そろそろ行くねぇ。先輩!今日も頑張って!」       
           
梨紗はそう言って走っていった。       
           
いつも通りの梨紗だった。          
『友達と行くから、約束がダメになったこと、気にしないでね』    
           
と、言っているような後ろ姿を、幸輝は見ていた。          
           
夏休みに入って一週間が経った。       
           
花火大会の前日、この日梨紗はバイトが入っていた。         
           
毎日が暑くて、アイス屋はとても忙しかった。 
           
自動ドアが開いて、部活帰りの幸輝が入ってきた。          
「なんでぇ!?」   
           
驚いている梨紗に、  
           
「5時までだよね?待ってるよ」       
           
幸輝はそう言った。