梅雨が明けて、7月の太陽が照りつけていた。 
           
そんな日の昼休み、梨紗は幸輝と2人で、中庭の日陰にあるベンチに座っていた。       
           
「先輩。7月の最後の土曜日、花火大会行こうよ」          
「あ〜。あそこの?」 
           
梨紗の地元だけでなく、ここら辺の人達でいっぱいに賑わう、大きな花火大会が、毎年7月最後の土曜日に開催される。 
           
そこは、梨紗の最寄駅から電車と歩きで30分くらいで行ける場所だった。          
「いいよ。行こっか!」
           
幸輝の言葉に梨紗は、喜びを抑え切れなかった。
           
「ホントに!?やったぁ!!あの花火大会は、小さい時から毎年ずーっと行ってるんだぁ。昔は家族で行ってて、中学生になってからは友達と行くようになって……」  
           
女の子は花火大会ってだけで、こんなに喜ぶものなのかと思いながら、幸輝は聞いていた。