幸輝は、梨紗の駅から2つ先の駅で降りるはずが、梨紗と一緒に降りて、家の前まで送ってくれた。
           
その途中、梨紗は肝心なことを聞いてみた。  

「あの…私と付き合ってくれるんですか?」

考えてみたら、付き合おうとは言われていなかった。

それを聞いた幸輝は、プッと笑って、

「俺は梨紗ちゃんの彼氏。梨紗ちゃんは俺の彼女。」
と言った。

梨紗にいつもの笑顔が戻った。


大好きな人と、付き合うことになった。

一緒に帰ってきて、家の前まで送ってくれた。

嬉しくて、まだ少し信じられない。

恥ずかしくて、むずむずするよな不思議な感覚で、気持ちがフワフワしていた。

明日から7月という、6月最後の日の出来事だった。         
           
           
           
眠ってしまうのがもったいないような、そんな夜だったことを、今でも覚えている。