無言は気まずいから、梨紗が口を開いた。

「あ…部活終わったんですか?…お疲れ様です…。……話すの久しぶりですね。その前に、会うのが久しぶりですよね…?」

気まずさを無くそうと、ぎこちない笑顔で話しをする梨紗を………幸輝は抱きしめた。

  えっ!?

梨紗は頭の中が真っ白になった。

何が起きたのかわからない。

「……ごめん」

幸輝の言葉が、梨紗をもっと混乱させた。

  ごめんって何!?

そして、幸輝の次の言葉が、梨紗に幸せを呼ぶこととなる。

「俺…梨紗ちゃんが好きだよ。気が付くのが遅くて、ごめん」

梨紗の目から、自然と涙がこぼれていた。


「一緒に帰ろう。」

梨紗と幸輝は並んで歩きだした。

先輩が隣にいる…。
ただそれだけで、いつもの帰り道が、いつもと同じではなかった。

見える景色。耳に入る音。全てが特別なもののように感じて、違う世界に入り込んでしまったような感覚だった。