「だから、付き合うとかはできない……ごめんね」
先輩は、梨紗に背中を向けて歩きだす。    
           
え? 終わり? 私の恋終わっちゃったの? 
           
「どこが好きとか…」 
           
梨紗は耐えられなくて、つぶやいた。     
           
その声を聞いて先輩は、立ち止まってもう一度梨紗のほうを向いた。  
           
「どこが好きとか、言えなきゃダメですか!?好きになった理由が言えないとダメなんですか!?気がついたら気になってて、どんどん好きになって……これからもっともっと、先輩のことを知っていきたいから、付き合いたいっていうのはダメですか……?」    
           
先輩は黙って聞いていた。
梨紗は、走ってその場をあとにした。     
           
なんだか可愛くない言い方をしてしまったことを、少し後悔した。   
           
でも、嘘は言っていない。          
好きになった理由とか、そんなの梨紗自身が一番知りたいくらいだった。