花の下に『祝 卒業』と印刷されたリボンが付いたブローチが配られて、全員がブレザーの左胸に付けた。
           
「卒業生は廊下に整列してください」
           
その放送を聞いて、廊下に出る。
1組から順番に体育館へと向かった。     
           
来賓の方々や先生達、保護者、在校生が拍手で迎える中、私達卒業生は入場した。
           
幸輝と出会った体育館。
バスケ部を見るために、何回も足を運んだこの場所に来るのも今日で最後。
           
校長先生の挨拶。   
           
集会や始業式などの時の校長先生の話しは、正直言って真剣には聞いていなかった。でも、今日はその言葉のひとつひとつを真面目に聞いた。  
           
「3年間で身につけた力に更に磨きをかけて、変わりゆく社会の中でたくましく生き、自らの信念を貫いていってください。時には思い悩むこともあるでしょうが、道は必ず開けることを信じ、頑張って生きてほしいと願っています。君達の前途に、光り溢れんことを祈ります」

最後のその言葉が心に深く響いた。