卒業式当日。
           
通い慣れた学校への道を、一歩一歩踏み締めて歩いた。
           
「おはよ〜!」    
           
教室に入ると、クラスメートの声が飛び交っている。いつもと同じ、騒がしい朝の風景だった。
           
一人一人の机の上に、文集が置かれている。  
           
この制服を着て、このメンバーで、この場所にいることが今日で最後とは思えなかった。    
           
明日もまた、おはようと言ってこの教室に集まるような、そんな気がしていた。        
           
「お前ら、あんまり泣くなよ」
           
良平が、梨紗と絵里に言った。   
           
「え〜絶対号泣だよ。ね!梨紗」
           
「うん!もうすでに泣きそうだし…」
           
「まだ早いっての!」
           
おしゃべりをしていると担任の先生が来て、みんな席に着いた。