「どんなに頼んでも会ってくれないってことか…」
           
健司はうつむきながらそう言った。      
           
「会わないとは言ってない…」
           
「えっ!?じゃあ…」
           
梨紗の言葉に健司は驚いた。
           
「行くよ。だって……幸輝のことが好きだから…」
           
「梨紗ちゃん……」  
           
梨紗の言葉を聞いて健司はホッとしていた。

「明日の土曜日大丈夫?兄貴家にいるって言ってたし、俺もいるから」
           
「うん。大丈夫」
           
「じゃあ明日の2時頃。待ってるから」
           
そう言って健司は帰った。
           
幸輝に会うなんて、予想外の展開すぎて動揺したけれど、すぐに落ち着きを取り戻した。
           
なんだか緊張して、この日はなかなか寝つけなかった。