また来たんだ…というような顔をした幸輝だったけど、
           
「入れば」
           
と言って中に入れてくれた。
           
部屋の片付けをしていたようで、ドアが開け放たれている。
梨紗は思わず覗き込んだ。

4カ月ぶりに見る幸輝の部屋は、いつものようにキレイに片付いていた。
           
そう。片付いていたのだ。
           
梨紗はそこに立ちすくんだまま動けなくなった。
           
コルクボートに貼ってあった梨紗との写真も、一緒に行ったゲームセンターで取った人形も、そこにはなかった。
           
付き合い始めてすぐの幸輝の誕生日にあげたTシャツとタオル。部活を引退してからは、部屋の見える所にハンガーにかけていてくれた。    
           
それも、もうなかった。
           
事故の2日前に愛し合った部屋とは別のものとなっている。      
           
幸輝はこの部屋で過ごしてたんだ…。

幸輝の毎日に、とっくに私はいなかったんだ…。