10月下旬。梨紗は希望していた専門学校に合格した。

回数は減ったけれど、幸輝の家に行くことも続いていた。
           
記憶がずっと戻らないこともある。病院で先生から言われた言葉を最近よく思い出すようになった。
           
このままずっと思い出してもらえないんじゃないかと、考えてしまうこともあった。
           
それでも、一発逆転の奇跡を信じる気持ちを捨てきれずにいた。
           
どんなに落ち込んだ時でも、学校もバイトも休まずにいつも通りの生活を送っていた。
           
幸輝が思い出してくれた時に、いつもの自分でいたかったから。