呼び鈴を鳴らすと健司が出てきて、中へ入れてくれた。
           
通されたのはリビング。
           
そうだよね…部屋には入れないよね…。
           
話しかければ、幸輝はそれなりに答えてくれる。
でも、しばらくすると部屋に行ってしまった。
           
「おじゃましました」
           
と帰る時も顔を出してはくれなかった。

病院の時のように、毎日家に行くことはできなかった。        
バイトもあるし、健司とも予定が合わないとダメだったから。  
それでも週に1回は顔を見に行っていた。   

この日も幸輝の家に来ていた。だけど、幸輝は部屋から出てはこなかった。
           
トイレに行こうとした時、部屋から幸輝の声が聞こえた。誰かと電話で話してるみたいだった。