体育館に着いた3人は、拓也の姿を探す。   
           
「いたいた!あそこ!」
           
絵里の指差す先に拓也はいた。        
           
まだ練習が始まる前のようで、6〜7人で集まった新入部員の中で拓也は、いつものようにバカをやって騒いでいた。  
           
「拓也ぁ〜。真面目にやれよー!」      
「腕にぶったんじゃないのぉ〜!?」     
           
良平に続いて梨紗も叫ぶ。          
その声に答えるように拓也は
「ぉおー」      
と手をあげた。そして持っていたボールで、見事なボールさばきを見せ付けた後、得意気な顔でこっちを見ている。   
           
「でたでた。カッコつけ!はいはい、わかったから」         
絵里の言葉で梨紗も良平も声を出して笑っていた。
笑いながら梨紗は、拓也達がいる場所の奥のゴールでシュートの練習をしている人が目に入った。
           
その瞬間、梨紗の中で何かが起きた。