帰り道で何も話さない梨紗に良平が言った。  
           
「無事でよかったじゃん。あんまり考え込むなよ…。俺も誰?って。そのあと拓也とか言われちゃったし…。一時的なことらしいしすぐに思い出すって!」       

「うん…。そうだよね!」

良平の言葉で梨紗は前向きに考えることにした。


ただ、記憶が混乱している中で、『梨紗』という言葉が一言も出なかったことが気になっていた。