幸輝のケータイからかかってきたのに、話しているのは弟の健司。意味がよくわからなかった。

「今、病院にいるんだけど……」
           
病院と聞いただけで嫌な感じがした。     
           
そのあとの健司の言葉を聞いて、梨紗は頭が真っ白になった。     
           
力無くその場に座り込み、ケータイを持った手はだらんと下がり、健司の声はもう届いていなかった。