幸輝が高校最後の1年間を過ごした3年5組の教室で、梨紗の最後の1年間も始まった。

幸輝のいない学校。

一緒にお弁当を食べた中庭や屋上。      
そして体育館にも、もう幸輝はいない。

寂しい気持ちももちろんあったけれど、それだけではなかった。

同じ学校にはいないから、すぐに会える距離にはいないけど、幸輝を近くに感じられるようになっていた。

側にいないと、近くにいないと、不安だった付き合い始めの頃とは違う。

離れていても、心が繋がっているような気がしていた。        

幸輝のことを考えると勉強でもバイトでも、頑張ろうっていう気になれた。側にいなくても、私に力を与えてくれる幸輝の存在は、すごいと思う。