2人が向かったのは、学校から駅とは反対方向に30分くらい行ったところにある場所。    

ただの道なんだけど、この時期には満開の桜がトンネルを作っている。 
          
愛子が純と付き合い始めた時から毎年見に行っていて、すごく綺麗だからと梨紗に教えてくれたのだ。

「うわぁ…。綺麗だね〜」
           
満開の桜を2人で見上げた。時々ひらひらと花びらが落ちてくる。隣には幸輝がいて、なんだかとても心地良かった。  
           
幸輝の手が梨紗の手を握った。人前でベタベタするのが苦手と言っていた幸輝から手を繋いでくるのは珍しい。