みんなで写真を撮ったり騒いでいる幸輝を、離れた所から見ていた。  
           
気付いた幸輝が歩いてくる。梨紗のリボンを外し、自分のネクタイをつけてくれた。
           
「あと1年。頑張れよ」
           
4月になれば幸輝はこの学校にいない。    
           
梨紗の目から涙がこぼれた。         
           
 幸輝…       
 卒業おめでとう。  
           
           
春休み。       
           
バイトのない日は幸輝と過ごすことが多かった。
           
幸輝はこの日、梨紗の部屋に来ていた。

「もう3年生か〜。早いなぁ…」
           
「最後の1年はホントあっという間だよ。進路は?考えてる?」    
           
進路という幸輝の言葉を聞いて改めて、3年生になるという実感が湧いた。