廊下に出てきて梨紗を見た幸輝は、気まずそうな顔をした。
           
2人は誰もいない屋上で話し始めた。
           
「きのう、俺があそこに行かなければよかったんだよな…」
           
「私が行きたいって言ったんだよ?」
           
うつむく幸輝を見て、梨紗が話しを続ける。  
           
「幸輝は、体を張って私を守ってくれたじゃん。嬉しかったよ?結果的に、何もなかったわけだし…もういいじゃない。変に避けられるほうが辛いよ…」        
           
「でも…」
           
と言う幸輝の前に手を差し出した。      
           
「帰ろう?」     
           
梨紗の優しい笑顔は、幸輝の中のモヤモヤを吹き飛ばした。手をつないで2人は歩き出す。