幸輝は男を振り払って、
           
「汚い手で触んじゃねぇよ!!!」      
           
梨紗に覆いかぶさる男に殴り掛かろうとした。 
           
「ダメェー!!!!!」
           
そう叫ぶ梨紗の声を聞いて、幸輝は拳を止めた。
           
「なんだコイツ」
           
男達が幸輝を殴った。 
幸輝は、塀に寄り掛かり座る梨紗の盾になるようにして殴られている。 
           
目の前で幸輝が殴られているのに、どうすることもできなかった。   
           
大きな通りから、梨紗達のいる裏道を覗き込む2人の女の人がいた。  

「ちょっと何あれ。ケンカ?」
           
「誰か呼ぶ?」

その声を聞いて、2人の男は舌打ちをして去っていった。