「奈津樹っ…!」
「蓮…」
奈津樹はタオルをかぶせたままだった

「奈津樹…、もうお願いやから振り向いて?」
「今は…、何も話したくない」
奈津樹の声がかすかに震えていたのを、蓮は気付いた

「何があったん…?」
「大地と…新カノに会った…」
奈津樹はさっきのことを、蓮に話した

「そっか…、ごめん」
「もう、忘れたつもりやったのに…」

「きゃー!沙耶、どこ飛ばしとんねんっ!」
紗理奈の声がグランドに響く

「俺じゃ…無理か」
「…っ」

泣かすつもりはなかった
まだ君は…忘れていなかった
どうすれば振り向いてくれんだよ?
もう、無理なんかよ…

蓮は何も言わず、その場を去った

蓮は保健室に行き、寝ころんでいた
ガラガラ…

「誰?」
「やっほー…」
「立花か」
蓮の前に立っていたのは、心だった

「心でごめん…」
「別に〜…」
蓮は外を見ていた
「蓮くん…、誘ってくれてありがとう」
「あぁ…、おう」
「心…、蓮くん大好き」
「…うん」