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サモウの時期が終わりを告げ始め、ようやく過ごしやすい気候になってきた。
真っ青な空の下、今日も私は、訓練に勤しんでいる。
「クレア~、相手してもらえる?」
訓練場の向こうからパタパタと足音を立てて走ってきたのは、ウェズリアの魔女、まおさんだ。
肩までのウェーブした黒髪がフワフワと揺れていて、その誰よりも濃い、青の瞳には、吸い込まれてしまいそうだ。
にへらっと微笑むその屈託のない笑顔は、女の私でも惚れてしまいそうな可愛い笑顔だ。
「はい!」
あれから一年経ち、私は無事試験に合格、軍隊に入隊した。
10歳で入隊した、私は天才魔術師と言われていた。
そして、ある戦でまおさんに命を助けてもらった私は、仲良くさせていただくようになり、最近ではまおさんとよく魔力の訓練をしていた。
彼女は、私の友達で──姉のような存在だ。
人との垣根を感じさせない優しい彼女のおかげで、どこかからっぽだった心が満たされていくようだった。
軍隊は想像以上に忙しく、隊律も厳しい。
任務に勤しんでいると、忙しくてあれから村には一度しか帰れていない。
軍隊に入ってから、キツイけれど、毎日が充実していて、楽しかった。
だけど……隣に貴方がいない。