「……クレア?」


 驚きを隠せないショウの声が聞こえる。

 どうやら、発光しているのは私自身のようだった。

 力が、身体の奥底から溢れ出してくる。

 なんでも、できる気がする。

 ふい、とバケモノに視線を移すと、明らかに彼らは身体を震わせた。


「許さない……」

「何!?」


 バケモノが、私の突然の発光に驚きを隠せないようで、私たちから距離をとる。

 私の中で、確かにどす黒い何かが生まれた。


「これ以上、ショウを傷つけるなんて、許さない!」


 叫びとともに光が、私を中心にして、辺りに広がっていく。

 それと同時にバケモノは、見えない衝撃波によって、吹き飛ばされた。

 ああ、なんて心地がいいのだろう。

 この力があれば、私は……──。


「お前……」

「これが、魔術師ノ力……⁉︎」


 バケモノが、なんと言っているのか、わからなかった。

 自分が何をしているのかも。

 考えずとも魔法陣が掌に構築された。

 しかも、両手に。


「この力があれば……!」

「っやめろ! クレア!」


 ショウの叫びが聞こえたけれど、理解ができなかった。

 なぜ、止めるの?

 バケモノが貴方を傷つけた。

 そんな奴ら──キエテモイイ。


「クレアァ!!」
 
「──滅びよ、悪しき魔のものよ」


 自分でも信じられないような声が出たと思ったら、手のひらの魔法陣がまばゆい光を放つ。

 すると、魔方陣からあふれた光と炎が──炸裂する、刹那。

 ショウが私に覆い被さった。

 地面に倒れ込む私たち。

 光と炎はそれでも止まず、一瞬でバケモノは塵になって消え去った。


「────」


 どのくらい時間が経ったのだろうか。

 光が止むと、意識がはっきりとしてきた。


「──あれ?」


 なにが、起きたの?

 辺りを見渡しても、バケモノはいない。