きっと、人の姿をしているのも相当な苦しみのはずなのに。

 これ以上ムリをしたら……。


「ククク……まぁ、どちらかラいただこうが構わなィ。もっと痛め付けられたいのか?」

「俺のことなど、どうでもいい! ただ──クレアは、クレアだけは、俺が守る!」


 いつもの穏やかな口調はどうしてしまったのだろうか。

 普段の自分をかなぐり捨てて、私を傷つけさせないと激怒したショウ。

 こんなときなのに……私は泣きたくなってしまった。


「そノ正義ガ吉と出るカ、凶と出ルか……」

「私たちニ立ちはだかったノを後悔するがいィ!」


 そう叫んだバケモノは、まだ体力に余裕がありそうだった。

 一瞬で空へと舞い上がると、キラリと空が光った。

 そこから、一直線に蛇の毒が雨となり、降り注ぐ。


「っく……」


 ショウ……!

 ショウは手を前に掲げたかと思うと、魔法陣が現れて、毒の雨はそこにぶち当たった。

 シュウウと、薄く表面が溶けたけれど、魔法陣が崩れることはない。