魔法使いたちは力なく横たわっており、多分あの様子では助からないだろう。

 バケモノが、やったんだ……。

 すると、胸をどうしようもないくらい圧迫され、私は顔を背けた。


「……えっ……」


 全く状況を飲み込めていない剣を持った男は、そのまま立ち尽くしている。

 バケモノは、それを見て笑った。


「今夜ハ、獲物が多ィナ」


 この人たちの魔力を、食べるの?

 さきほどまで、己に従していた人を……?

 なんと身勝手な……。

 けれど少し考えればわかることだ。

 こんなやつが、すぐ裏切るなんて目に見えている。

 
「あァ、お前ハ生き残ったノか」


 真ん中の頭の鷲が、わざとらしく剣の男を見下す。


「あ、あぁ……」


 男は、怯えて声も出せないようだ。

 
「こいつモ、いけにえにするカ?」

「いや、残してこノまま仕えさせよウ」

「今日ハいけにえはたくさんいる……こノ魔術師もな」


 魔術師とは、私のこと……。

 虎が、私の方に標的を定めた。

 バケモノの後ろで、男が気絶して、倒れる音がした。

 同時に、カチャリと剣が落ちる。