ポツポツと照らされる外の明かりを眺めながら、弁当に舌鼓を打つ。 


前方に見える、ニュース速報のテロップには、さっきの巨人・阪神戦の試合結果が流れていた。 


【5―4 阪神のサヨナラ勝ち 矢野逆転2ランホームラン……】 


阪神、サヨナラ勝ちかぁ。よかった。


次々に流れるニュースに目を遣りながら、箸を動かす。 


ひじきの中に入っていた大豆が、箸を擦り抜ける。何度か格闘し、ようやく口に入れた。


隣の鰆はパサパサしていて、なんだか味気ない。


喉を通すために、お茶を口に含んだ。  


一息ついたところで、列車は京都駅に到着した。 


駅ビルの煌びやかな照明の後方に、五重の塔が顔を覗かせていた。 


漆黒の闇に照らされたそれは、幻想的な雰囲気を醸し出していた。