ボストンバックから読みかけの小説を取り出し、文字を目で追っているうちに睡魔に襲われてきた。 


文字が二重になったり、擦れて見えたり、ぼんやりとしている。


新幹線の揺れが心地よいリズムに変わる。



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〜♪〜♪〜♪〜



遠くから聞こえる、アナウンスの声。 



―――…!! 



慌てて飛び起きると、列車は新横浜駅に到着していた。 


名古屋から二時間余り、熟睡していたことになる。 

無理な姿勢で寝ていたからか、身体中が筋肉痛のように痛くて堪らない。


首や腰をポキポキと鳴らし、ストレッチを始めた。 


その拍子にぐるりと周りを見渡すと、乗客は数人しかいなかった。